阪神淡路大震災 20 周年事業

加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸 2015

東北と神戸を繋ぐドキュメンタリー映画上映
監督:榛葉 健

日時:1月12日(月・祝)

11:30『うたごころ《2012年版》』(1時間52分)
13:25 榛葉監督 講演(20分)
15:00『with…若き女性美術作家の生涯』(60分)
16:00 榛葉監督 講演(30分)


会場:ワークショップスペース1(2F)


「うたごころ《2012年版》」2012/日本
「もし父ちゃん母ちゃんに何かあったら、私の命を投げ打ってでも2人を助けます」
少女は、津波ですべてが流された自宅跡で言った。
宮城県南三陸町。東日本大震災で親類5人を失った女子高校生と家族。実は血がつながっていない。それでも血脈以上の深い絆がある。
苦難の中で誠実に生きる家族の姿を、2年間記録した本作。主人公の高校合唱部の活動、卒業から新たな一歩を踏み出すまでの心の成長、家族やふるさとへの深い愛情を丹念に描いている。
津波など衝撃シーンを一切入れず、人々の思いを淡々と伝える姿勢を貫いたこと。また、失われた《いのち》のありようを、映画的手法で描いたことで、「生きることがつらい」と悩む被災地や全国の人から「映画に救われた」「生きる力をもらえた」といった熱い共感が寄せられている。
テレビ界で多くの国際賞を受賞している榛葉健監督は、「被災地の人々を見せ物にしない」と誓い、放送局の仕事とは別に、私費で作り上げた。中国語版、英語版も制作。これは震災映画という分類に留まらない、《いのち》の映画である。
http://utagokoro.info/
 

「with…若き女性美術作家の生涯」2000/日本
この真実の物語は、未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災から始まる。神戸市長田区に住む美術作家を志す女子大生・佐野由美さん。自宅が全壊し、彼女はガレキの下から救出された。変わり果てた街並み。幼稚園の片隅での避難生活…。巨大な破壊の中で、彼女は目指してきたものに絶望する。
「生きることと死ぬことが背中合わせの状況の中で、自分の美術が、何の役にも立たない…」。
それでも「せめて目の前で起きている現実を記録しておきたい」という本能に駆られ、佐野さんは、身の回りの出来事をイラスト日記に残していく。
嘘や誇張のない等身大の記録。それは、人々へのいたわりや故郷・長田への愛情にあふれ、その後出版されて、べストセラーになる。
そして彼女は、大学卒業と同時に、新たな人生の選択をする。
「ネパールのスラム街で小学校の美術教師をする――」
そこはかつてボランティアとして、孤児院で3週間を過ごした国だった。そこで1年間暮らす佐野さん。自分の美術を、社会の中で意味あるものにするために、彼女はカースト制度の最下層の人々と交わり、描き続ける。
「人というものが分かってこそ、描ける絵があるんじゃないかと思うんです」
震災、スラム街店。過酷な現実と向き合いながら、美術作家・佐野由美は、自分の“意来る意味”をつかみとっていく。
そして、あの日が来た…。
http://with2001.com/

榛葉 健 Takeshi Shiba
1963年東京都生まれ。テレビプロデューサー、ドキュメンタリー映画監督。1987年、在阪民放局入社。社会派、歴史、自然、スポーツなど幅広くドキュメンタリーを制作し、日本テレビ技術協会賞、坂田記念ジャーナリズム賞など多数受賞。世界最高峰チョモランマを2年間撮影した「幻想チョモランマ」は海外でも放送された。阪神・淡路大震災では特別番組15本を制作。そのうち『with…若き女性美術作家の生涯』は、「日本賞・ユニセフ賞」「アジアテレビ賞」など受賞。世界的反響を受け、2001年、日本のビデオドキュメンタリー番組として史上初の映画化。東日本大震災の発生後は、個人で宮城県三陸地方に通い続け、私費で映画『うたごころ』シリーズを制作し、全国で上映。苦難の中で《ひたむきに生きる》人々を丁寧に描く作風と、卓越した講演が深い感動を呼び、《いのち》のメッセージとして絶賛されている。